Raekwon : Only Built 4 Cuban Linx...

Only Built 4 Cuban Linx...

先に紹介した『Enter the Wu-Tang (36 Chambers) 』(93年)を皮切りに Wu-Tang 一族は Method Man 『Tical』(94年11月), Ol' Dirty Bastard 『Return to the 36 Chambers: The Dirty Version』(95年3月)と矢継ぎ早にソロ・アルバムをドロップしてゆくわけだが、中でも最高傑作と思うのが3人目の刺客 Raekwon の『Only Built 4 Cuban Linx...』(95年8月)。

 

Wu-Tang クルー個々のキャラという観点ではR指定必至の奇人 Ol' Dirty Bastard とガンジャ臭い Method Man の二人が突出しているが、正統派のハーコーと言えばこの人 Raekwon。

 

トリッキーなキャラクターに頼ることなく、Rakewon のハードコアなMCスタイルを最大限に活かすにはビシッと引き締まったトラックが最適と考えた RZA の判断とそれを実現した手腕が素晴らしい。一説によればこの頃 RZA は1000以上のビート・ストックがあったとも言われ、ビートメーカーとしての製作意欲/アイデアもさることながらクルー個々の魅力を引き出すことのできる目利きと辣腕ぶりは真の意味でのプロデューサーである。ウソかマコトか Wu-Tang の1stアルバムのリリックは全て RZA がメンバーに合わせて手を入れているという逸話もあながち絵空事ではないように思う。

 

全17曲のうち12曲に Ghostface Killah (GFK) が参加、アルバム・ジャケットも中央の Raekwon を援護射撃するかのように GFK が YOーッ!! と手を出してます。では早速。

 

オープニングの『Striving for Perfection』は、John Woo 監督の89年 香港映画『The Killer (邦題 : 狼 男たちの挽歌・最終章)』からの引用。そのまままるっとパクっているだけだが、このアルバムのコンセプトを表現していて雰囲気充分。

 

『Knuckleheadz』の丸太ん棒のような唸るベースは The Dramatics の『Get Up and Get Down』(72年)からサンプリング。ブッ太いビートとシンプルなキーボード・ループの上をシャープな Raekwon - カン高くスムースな Ghostface Killah - 渋い低音ボイスの U-God とリレー。時折銃声やサイレン音が鳴りドラマティックな仕立てになっています。ちなみに U-God はこの時点では Golden Arms とクレジットされてる。

 

『Knowledge God』はキリキリと冷え込むようなストリングス・ループにジャッと鋭角に切り込むカッティング・ギターとトロリと雫が垂れるようなキーボード音が印象的なクールでハードコアなトラック。このストリングス使いを初めて聴いた時はビックリしました。RZA の感性は尋常じゃないです。ストリングスは Stanley Black の 『Meadowland』(65年)から、カッティング・ギターは Ruby Johnson の『When My Love Comes Down』(66年)から。

 

映画『Scarface (邦題 : スカーフェイス)』(83年)のダイアログで始まる『Criminology』はアルバムからの2ndシングルカットで同じくハードコア路線。このサプリングも凄くて、ドスバス重たいドラムの上を Black Ivory の『I Keep Asking You Questions』(72年)の落下してゆくベースと The Sweet Inspirations の『Why Marry』(73年)からメタリックなチャイム音が鳴ってます。GFK が参加。

 

『Incarcerated Scarfaces』ではまたしても『狼 男たちの挽歌・最終章』のダイアログ。ザラついたハイハットとキック&スネアは Detroit Emeralds の『You're Getting a Little Too Smart』(73年)から。このビートは堪りません大好物です(これだけで御飯三杯イケちゃいます)。そこに Koko Taylor の『Wang Dang Doodle』(66年)からブレイク音をピッチを変えてループさせるという変態プレイに Raekwon がリリシストぶりを発揮。

 

『Rainy Dayz』はアルバムからの4thシングルカットで女性ボーカル Blue Raspberry を大胆にフィーチャーし、ストリングス・キーボードにハウリングのような金属音、ダーク & メランコリックで良し。Wu-Tang の1stアルバムは女っ気 皆無だったが、Raspberry 嬢はメンバーのソロ・アルバムには結構参加していて Method Man や Cappadonna でも聴くことができる。wiki によれば彼女はアトランティック・シティーのパーキングで働いていて、スピーカー越しの歌声を聴かれて誘われたそうな。ハイハット・ビートは 36 Chambers でも使われていた Ralph Vargas and Carlos Bess の『Funky Drummer Vol. 1』収録の『CB#5』から。ちなみに Diamond D & Mr. Dalvin Remix は全くの別のチューンになっていて GFK のソウル路線ド真ん中。

 

『Guillotine (Swordz)』では久し振りに Shaolin が。サンプリングは何故か Method Man ソロの『Tical』(94年)収録のアルバム・タイトル曲の一部をまんまループ(冒頭の『展覧会の絵』ではありませんよ)。マイク・リレーは 技巧派 Inspectah Deck - 情感派 Ghostface Killah - 任侠派 Raekwon -  知性派 GZA の順。

 

『Can It Be All So Simple (Remix)』はご存知 Wu-Tang Clan 1stアルバム収録曲のリミックス・バージョン。Wu バージョンはソウル色の強いチューンでしたが、こっちはドライでハードな印象。前者が香りふくよかなマッカラン(Macallan)に対して後者はキリッと辛口のタンカレーNo.10(Tanqueray No.TEN)という感じ。リリックも変わってます。

 

『Shark Niggas (Biters)』は喋くりインタールード。

 

『Ice Water』のドラム・ビートはまたしても Ralph Vargas and Carlos Bess の『Funky Drummer Vol. 1』収録『S.C.R』で、そこに Delores Hall の『Where Do We Go From Here?』(73年)から「アー」という声をフリップ&ループさせてます。イカれてますな。ラップは GFK と Cappadonna (この時は Cappachino 名義) が参加。

 

『Glaciers of Ice』は2ndシングル『Criminology』のB面収録だが、個人的にはA面以上に RZA の手腕が発揮されたと思う、狂気が横溢するマイ・フェイバリット。Aguaturbia の『Heart Breaker』(69年)からギターを流麗にループさせることで生まれる緊張感、そこに Masta Killa (地味ながらだいぶ上達していると思います)と GFK (バースへの入り方が堪らん) が参戦、そして Wu の歌姫 Blue Raspberry がシャウトするというカオス。ん〜堪りませんな。心なしか Raekwon も GFK もアルバムで一番冴えてる気がする。最後の「it's been a long time... 」の声がショボイのが唯一の欠点。これが 60 Second Assassin か?

 

前年に稀代の傑作『Illmatic』をドロップした NAS を迎えた『Verbal Intercourse』では The Emotions's の『If You Think It (You May as Well Do It)』(72年)からキュートなキーボードをサンプリング。NAS は派手さはないものの Raekwon に似た正攻法なフロウで口火を切り、それを Raekwon が引き継いで GFK へと受け渡す。ラストの2MCによるグチョングチョンなラップをもう少し演って欲しかったなぁ。

 

『Wisdom Body』の冒頭はブラック・ムーヴィー『The Mack』(73年)からダイアログを引用(映画は未視聴)、延々とドローンのようにループされる「ジャーン」は B. J. Thomas の『I'm Gonna Make You Love Me』(69年)からサンプリング。ミディアム・ビートで Raekwon と GFK が噛みしめるようにフロウを聴かせる。

 

『Spot Rusherz』のイントロで Wu-Tang Clan の『Shoalin Brew (St. Ides Commercial)』(94年)というのがサンプリングされているとのことでそれって何? と思ったらなんとアルコール飲料のCMソングなんだそうで、Youtube を見ると Method Man , Raekwon , GFK がラップしながらコマーシャル!! 本編は短いですが Raekwon がスモーキーにラップ。

 

必殺の『Ice Cream』は3rdシングルカット。これほどシンプルで美しく力強い Hip-Hop ナンバーはないのではないか、そう思わずにはいられない Raekwon の、いや Wu-Tang 一族の中でも最大のハイライト。Rufus Thomas 『The Breakdown (Part II)』(71年)のビートに Earl Klugh から『A Time for Love』(80年)をループ。白眉はこのサンプリング・ループで、長らくピアノだと思っていたけど実はアコースティック・ギターのフレーズをピッチを上げてループしたもの。crazy RZA !!

マイクは、イントロ/フック/アウトロ担当 Method Man - 斬り込み隊長 Ghostface - 名刀村正のごとく切れ味鋭い Raekwon - 青銅刀のごとく断ち切る Cappadonna。

息をのむほど美しい。This is クラシック。PVもチェックせよ。

 

『Wu-Gambinos』もメロトロンのような懐かしくもどこか壊れたキーボード・ストリングスに Henry Mancini and Doc Severinsen の『If』(72年)からピアノをループさせた ill なチューン。ドラムは The Emotions の『I Like It』(69年)らしいのだがよく判らない。このアルバムで最も参加メンバーが多く、Method Man - Raekwon - RZA - Masta Killa - GFK と怒涛の Wu-Tang Clan マシンガン・リレー。

 

ラストの『Heaven & Hell』はアルバムに先駆けてリリースされた1stシングルカット。渋ソウル曲 Syl Johnson の『Could I Be Falling in Love』(74年)の気持ちよいイントロをループしたメロウ&ドリーミーなトラックだが、リリックは「You don't believe in heaven cause we're in hell. So it's your life.」とハードノック・ライフを語っている。ラップは Raekwon と GFK だが、バースをきっちりと分けず2MCの双頭ラップが実に見事。ここでも Blue Raspberry の歌声が突き刺さってくる。

 

全17曲、70分近くにもおよぶ大作で通しで聴くにはさすがに疲れるが、それでも駄曲・捨て曲一切無しという完成度の高さで、特に後半のクオリティは異常なレベル。Wu-Tang Clan 『Enter the Wu-Tang (36 Chambers) 』と双璧を成す。未聴の人は是非。


Wu-Tang Clan : Enter The Wu-Tang (36 Chambers)

Enter The Wu-Tang (36 Chambers)

Ahmad Jamal の『The Awakening』を聴いて血が騒ぎ、思わず Wu-Tang Clan の1stアルバムにして90年代 Hip-Hop の金字塔『Enter The Wu-Tang (36 Chambers)』(93年)を久し振りに手に取る。

 

およそ信じられない音の悪さ、全編に差し込まれる怪しげなカンフー映画からの引用と効果音、色彩感の無いエキセントリックなトラック、脅迫的に押し寄せてくるスカスカの変態ビート、得体の知れない複数のMCによるマイクリレー、意味不明のサンプリング・センス、バランス感覚などお構い無しのサウンド・プロダクション等々、褒め言葉が一つも見つからぬサイテーにしてサイコー、音楽史上最高のキ○チガイMC集団 Wu-Tang Clan。

 

このアルバム・ジャケットが秀抜で、まさに正体不明のオソロシイ集団が襲い掛かって来るイメージ。2004年のフランス映画『Crimson Rivers II : Angels of the Apocalypse (クリムゾン・リバー2 : 黙示録の天使たち)』に出て来る僧衣に身を包んだ謎の暗殺者集団と符合する。

 

メンバー全員が New York の Staten Island 出身で、実質的なリーダーであり音楽プロデューサーである RZA を筆頭に GZA , Ol' Dirty Bastard , Method Man , Raekwon , Ghostface Killah , Inspectah Deck , Masta Killa , U-God のMC9名から構成される(後に準メンバー Cappadonna が正式加入)。その昔のインタビューで Wu-Tang 一族は総勢200人にもおよぶと言っていたらしい。ナントカ48 とイイ勝負ですな。

 

でこの9名が代わる代わるマイクを奪い合うようにラップするわけですが、最初は見分けられない(聴き分けられない)けど直ぐに9名の声質/ラップ・スタイルが判るようになります。つまりそれほどまでに個々のキャラクターが立っているということで、まさに史上最強のMCグループなり。

 

ではアナログ・レコードA面にあたる Shaolin Sword サイドから。

 

アンダーグラウンドの扉を開けるのは、香港映画『少林與武當 (Shaolin and Wu Tang)』(83年)の怪しげなダイアログで幕を開ける『Bring Da Ruckus』。Melvin Bliss の『Synthetic Substitution』(73年)からサンプリングしたソリッドなキック&スネアに総帥 RZA の「Bring the motherfuckin' ruckus」のコーラス、ポキポキと骨が鳴るようなフィンガー・スナップのビートに背後では不穏な笛や効果音が絶えず流れる。こりゃヘンタイ(ill)ですな。

1stバースはカン高くてスムースな Ghostface Killah、2ndバースは端正な Raekwon、3rdバースは正統派の Inspectah Deck (リリース時は Rebel INS)、4thバースはイブシ銀 GZA。

 

『Shame On A Nigga』は Syl Johnson の『Different Strokes』(67年)からユッタリとうねるベースとド派手なホーンをサンプリングし、グシュグシュと擦られるスクラッチと硬質なビートがカッコよし。最初のフックと1stバースは天性のマジキチ Ol' Dirty Bastard、2ndバースはモクモク煙たい Method Man。Ol' Dirty の異様なキャラ立ちと Method Man のスモーキーな雰囲気はサイコーです。コーラスを挟んで3rdバース Raekwon が登場するタイミングで Thelonious Monk の『Black and Tan Fantasy』(56年)から素っ頓狂なピアノをループ。しかも異なる2つの壊れたピアノ・フレーズを使うというのが凄い。最後の4thバースで Ol' Dirty が再登場。

 

『Clan In Da Front』は RZA のシャウトで始まり The New Birth の『Honeybee』(71年)から変態ベース・ラインと蜂の羽音をピッチを上げてサンプリング。1分20秒あたりからビートが変わり、またしても狂ったピアノをループ。これは Thelonious Monk の『Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are』(64年) のほんの一瞬をフリップしたもの。RZA の尋常じゃないセンスが判りますね。

リリック&フロウは GZA の独り舞台。Wu-Tang Clan としてリリースする前の91年に Cold Chillin' Records からソロでアルバムをリリースしていたことからも判るようにノーブルなフロウを聞かせます。

 

『Wu-Tang: 7th Chamber』はインタールード的に複数メンバーのスキットで始まり、Lonnie Smith の『Spinning Wheel』(70年)からブーガルーっぽいドラム・ビートをサンプリングし、不調なピアノ・フレーズをループ。ときおり Otis Redding の『Down in the Valley』(65年)からチョーキング・ギター部分だけをフリップしてループさせるという異常ぶり。ホント RZA はオカシな人です。

フロウは Raekwon - Method Man - Inspectah Deck - Ghostface Killah - RZA - Ol' Dirty Bastard  - GZA と怒涛の全員マイクリレー。おっと「全員」と言ったけど U-God と Masta Killah がいない。2人はアルバム制作時に収監されていたこともあるけど、U-God は RZA にラップをあまり評価されていなかったという話もある。

 

とここまで奇っ怪で不気味なアングラ臭ムンムンで来て、『Can It Be All So Simple』でいきなりソウルフルなチューン。元ネタは Gladys Knight & the Pips's の『The Way We Were / Try to Remember』(74年)で、しかもインスト部分でなくボーカル・メロディ部分をループさせるという技。初めて聴いたときは本当にビックリして、私、鳥肌立ちましたよ。でも安易なメロウ・トラックでなく、背後で妙なマイナー調の旋律を奏でたり、サイレン音を差し込んで転調したりと不穏な空気を漂わせているのが RZA らしい。ブリッと鳴るベースは  Labi Siffre の『I Got The...』(74年)なんでしょうね。

ここでのラップは、後に相性の良さを発揮し傑作アルバムをリリースすることになる Raekwon & Ghostface Killah の2MCコンビ。このチューンにバッチリはまってますね。

 

続いてアナログB面の Wu-Tang Sword サイド。

 

『Da Mystery Of Chessboxin’』は Otis Redding and Carla Thomas の『Tramp』(67年)からキック&スネアを拝借し、シンプルなキーボードとビートだけで男臭く迫り来る。これはメチャカッコ良いよね。「うっ、あっ、うっ、あっ」も良し。ラップは RZA&GZA を除いて U-God - Inspectah Deck - Raekwon - Ol' Dirty Bastard - Ghostface Killah - Masta Killa (Method Man はコーラス)と全メンバーで一気に急き立てる。いやしかし Ol' Dirty はマジ凄いっす。

ようやく U-God 登場、小柄なラッパーとのことですが意外に低い声です。素人目にラップ巧者でないのが判りますがそれ程悪くないと思います。そして Masta Killa も参戦。彼もアルバム制作時に収監されていたため出番が少ないのと、そもそもグループ結成当時ラップ経験が無く事前に GZA に相談してアドバイスを得て一生懸命トレーニングして臨んだらしい。頑張ってますよ。

 

『Wu-Tang Clan Ain’t Nuthing Ta F’ Wit』は冒頭の「タィガァ・スタァ〜イル」でテンションが上がり、続く「Wu-Tang Clan ain't nuthin' ta fuck wit」のコーラスで一気にトップギアに入る勇ましいストロング・スタイル・トラック。タギるねぇ。特徴的なハイハット・ビートは Biz Markie feat. T.J. Swan の『Nobody Beats the Biz』(87年) からサンプリングしてるけど、さらにそのネタ元は Lafayette Afro Rock Band の『Hihache』(73年)というわけ。コリッと骨のなるような音はTVアニメ『Underdog』の効果音からサンプリングしてるらしいけど本当だったら RZA はマジにイカレてますね。

珍しく RZA が全面的にラップを披露していてイントロ/コーラス/1stバース/アウトロを担当、やや声高のエキセントリックなスタイルだが変態集団の中ではそこまでとは感じないのがオソロシイ。2ndバース Inspectah Deck、3rdバース Method Man。

 

Wu-Tang Clan の出世作となった『C. R. E. A. M. 』は「Cash Rules Everything Around Me」の意味で、当時は知らなかったんだけど The Charmels の『As Long as I've Got You』(67年)のオープニングからピアノをまんまサンプリング・ループしたもので、ブッ太いベースとキック&スネアというシンプルな構成ゆえの中毒性の高いミディアム・トラック。耳に残るフック(Mehod Man)の「Dollar, Dollar Bill Y'all」は彼らのオリジナルと思ってたんだけど、Jimmy Spicer『Money (Dollar Bill Y'all)』(83年)からのものなのですね。

ピアノのミディアム・ループと前半 Raekwon & 後半 Inspectah Deck のフロウが見事にマッチしていて、トラックに応じて個性的なライム・スタイルを持つメンバーを巧く采配する RZA の手腕は流石ですね。

 

妙チキリンな「M-E-T-H-O-D めぇ〜ん」がクセになる『Method Man』はタイトル通りメンバー名を冠したトラックで、アルバムに先駆けてリリースされた 1st シングル『Protect Ya Neck』(92年)のB面に収録。メンバー最年少だがおそらく早い段階で RZA は Mehod Man のスキルとキャラを評価していたのでしょう、彼の名前をフィーチャーしたトラックを用意し、ほぼ一人でラップさせている(イントロとアウトロで他メンバーが参加)。Wu-Tang 一族で最初にソロ・リリースしたのも彼だしね(実は Ol' Dirty Bastard の方が先にソロデビューが決まっていたという逸話があるが)。いやしかしスモーキーですな。

ビート(ドラム)は Lightnin' Rod feat. Kool & the Gang  の『Sport』(73年)から。wiki を見るとここでのリリック/ライミングは様々な大衆カルチャーから引用していたことが判ります。最も判り易くかつ意外なのが冒頭の「M-E-T-H-O-D ...」で、何と!! Hall & Oates 85年のヒット曲『Method of Modern Love』から。

 

『Protect Ya Neck』は記念すべき1stシングル・ナンバー。当初は自主制作リリースされたもので、これがキッカケで Loud レーベルから声が掛かりアルバム・リリースに至ったというもの。wiki によればこのアルバム収録の際に録り直していて、ビートが変わってMCの順番も変わっているらしい。勢い一発のようでいて実は RZA が趣向を考えていることが判る。The J.B.'s の『The Grunt』(70年)から冒頭のsaxブヒィ〜音をサプリングしているという変態っぷりは最初からですな。それにしても音の悪さ(コモりまくり)はハンパないっす。

シンプルなビートにメンバー勢揃いのマイクリレーでアツくなること必至、Inspectah Deck - Raekwon - Method Man - U-God - (Method Man / Ol' Dirty Bastard) - Ol' Dirty Bastard - Ghostface Killah - RZA - GZA の順。これだけの人数でマイクを廻していてもメンバーのキャラがはっきり判るというのが凄い。

 

『Tearz』はレディ・ソウル Wendy Rene の『After Laughter (Comes Tears)』(64年)からコーラス部と G-Funk っぽいキーボード(このオルガンは Booker T. Jones)をサンプリングした泣きのソウルフル・チューン。元々は自主制作された『Protect Ya Neck』のB面収録でこの時は『After The Laughter Comes Tears』とのタイトル。「笑いの後には涙がある」とは切ない。

前半は RZA がたっぷりとライミング、後半に Ghostface Killah が登場。『Can It Be All So Simple』とあわせて後の Ghostface のソウル路線の萌芽がすでにここにある。転調するところはゾクッと来ますね。

 

ラストの『Wu-Tang: 7th Chamber – Part II』は Ralph Vargas and Carlos Bess のアルバム『Funky Drummer Vol.1』(93年)収録の『Make It Funky』からドラムをサンプリング。荒いハイハットと布団をぶっ叩いたかのようなスネアが堪りません。で Ralph Vargas and Carlos Bess がどのような人達なのか気になって調べてみたら、既に調べていらっしゃる人がおりました。

Funky Drummer Vol.1とVol.II

CARLOS BESS

ブッ太いドラム・ビートと効果音だけのハードコアなトラックの上を Raekwon - Method Man - Inspectah Deck - Ghostface Killah - RZA - Ol' Dirty Bastard - GZA の黄金リレー。

おまけの『Conclusion』はタイトルそのままの語り。

 

今回久々に聴いたけど、リリース後25年以上が経過した今の時代においても特異な存在であり、Hip-Hop の可能性、いや、音楽の可能性を飛躍的に拡げたことを再確認した次第。このザラッとしたローなスカスカ・ビートは必ずデカイ音で聴くべし。

また、あわせて Youtube でプロモーション・ビデオも見るべし。チビっちゃうよ。


The Ahmad Jamal Trio : The Awakening

The Awakening’

久し振りの音楽レビュー。アメリカ・ピッツバーグ生まれのジャズ・ピアニスト Ahmad Jamal (出生時は Frederick Russell Jones、後にイスラム教に改宗し Ahmad を名乗る)の60枚以上におよぶ作品中最も知られた名盤であり、かつ Hip-Hop 文脈で最もサンプリングされたであろう定番の『The Awakening』(70年) を聴く。

 

1970年と言えば Miles Davis が『Bitches Brew』を、Bill Evans が『From Left to Right』をリリースし、ジャズが大きな転換期を向かえていた頃。Ahmad Jamal (piano) , Jamil Nasser (bass) , Frank Gant (drums) のピアノ・トリオは一見スタンダードなジャズ・フォーマットですが、この3人が織り成す音楽は今でも時代を超えて新鮮に響くから不思議。

 

この人、世間一般には有名なジャズ・ピアニストではありませんが、Miles Davis ファンの間では Miles コンボ参加の誘いを断った不届き者(その代わりに Red Garland が入団)として知られてます(私もそうです)。また、90年代の Hip-Hop 黄金期のクラシック・チューンでサンプリングされまくったジャズ・アルバムとしても著名です(私もそうです)。

 

久し振りに聴き返してみると、クールでモダンなジャズ・アルバムとして聴くことができるし、Hip-Hop クラシックのサンプリング・ソース満載で1フレーズたりとも聴き逃せない究極の Hip-Hop コンピレーション・アルバム (?) としても楽しめます。

 

全7曲、Jamal オリジナルは <1> と <3> のわずか2曲ですが彼にしか構築し得ない世界観があるし、40分強とデジタル時代には短いアルバムですがヒジョーに濃密。ジャケットも何だか知的でクール。ザ・名盤なり。

 

『The Awakening』でいきなり Gang Starr 1stアルバム収録の『DJ Premier in Deep Concentration』(89年)のピアノ・フレーズが飛び出ます。という話はさておき、大胆に展開を変える楽曲で、1曲の中に様々なアイデアが盛り込まれています。その Jamal の閃きをベースとドラムが巧みにサポートしており、ややもすれば散漫になり楽曲として破綻しかねないところを全体的に落ち着いたトーンにしていて、これこそがピアノ・トリオの有るべき姿と思います。

 

同じ瞬間をフリップしたのが Pete Rock & C.L.Smooth 『It's on You』(94年)、NAS 『One on One』(94年)、Teedra Moses 『Be Your Girl』(04年)ですね。個人的に忘れ難いのは Da Beatminerz プロデュースの Shadez of Brooklyn『Change』(96年)でしょうか。

 

『I Love Music』も有名なサンプリング・ソースですね。前半は Jamal 独演による無伴奏ソロ。タイトル通り Jamal が「オレは音楽が大好きだぁ〜」とおもむくままに軽快に弾いてます。後半のベースが入ってきたところでコードチェンジする瞬間は本当にゾクッと来ます。初めて聴いた時の驚きは今でも覚えてます。

 

一番有名なトラックは NAS の『The World is Yours』(94年)ですね。あの少しヨジレたような音像空間はまさにこの一瞬のフレーズをフリップ&ループして作ってたのですね。Pete Rock 先生さすがです。が、それ以上のマイ・フェイバリットは DJ Premier プロデュース Jeru the Damaja の『Me or the Papes』(96年)。ベース/ドラム/ピアノ・ループだけという極めてシンプルなトラックの上に Jeru のストイックでスムーズなフロウが堪らないウルトラ・クラシック。ピアノが零れ落ちるような瞬間を切り取ってループさせたプリモ先生は偉大なり!!

 

Jamil Nasser のベースが小刻みに走り Frank Gant のハイハットが終始鳴っている『Patterns』はアルバム一疾走感のあるナンバー。この躍動感がかえって Hip-Hop 的にはサンプリング対象にならないのでしょうか? サンプリング・ソースとして使用されているチューンは(私が調べた限りでは)無いようです。

 

『Dolphin Dance』は Herbie Hancock リーダー作『Maiden Voyage』(65年)収録の名曲(もはやスタンダードですね)をカバー。一見(一聴)メロウでオシャレなんだけど実は結構難解なコードの楽曲を Jamal 流に解釈。ホーン不在のピアノ・トリオ編成なので音の厚みや難易度では勝負になりませんが、その制約ゆえのシンプルでリリカルな美しさがオリジナルとは違う次元で開花してます。素晴らしいカバーです。

 

サンプリングで最も有名なのは Common の『Resurrection』(94年)でしょう。私個人の経験としては、Common を先に聴いていて、何の予備知識もなく Jamal のこのアルバムを聴いて「発見!!」した時の喜びは格別でした。プロデューサーの No I.D. は今一つ突き抜けなかったけど、このループは慧眼ですね。あと印象にあるのは Deda の『Can't Wait』(03年)。Pete Rock 全盛期94年のプロデュースですが、レーベル Interscope とのいざこざでお蔵入り/日の目を見たのが2003年。INI と Deda はホント不幸なアーティストでした。

それから今調べて知ったのですが、あの O.C. 『Time's Up』(94年)のリミックス『Time's Up (Radio Remix ないしは DJ Eclipse Remix)』でも使われていました。

 

『You're My Everything』は原曲は1931年、様々なジャズ・アーティストがカバーしてますが、最も有名なのが Miles Davis 『Relaxin'』(58年)収録でしょう。Red Garland が演奏を始めると Miles がフィンガースナップ(指パッチン)と口笛で遮り「ブロック・コードだ。ブロック・コードで行け」と指示をする例のヤツです。

 

Pete Rock & C.L. Smooth の『Get on the Mic』(94年)で使われているとのことで一所懸命聴いたのですがよく判りません... と思ったらアウトロで使われました。マニアック過ぎるぞぃ。素敵な使い方としては All Natural feat. Lone Catalysts の『Renaissance』(01年)と Funky DL の『You Really Love That』(05年) あたりでしょうか。

 

『Stolen Moments』の原曲はサックス奏者 Oliver Nelson の『The Blues and the Abstract Truth』(61年)に収録。このアルバム大好きなんですよね。タイトル通りブルーズまみれ、蒼く燃え上がる炎。邦題も『ブルースの真実』だし。Miles Davis 『Kind of Blue』(59年)の影に隠れて知名度は低いですが、是非皆さんに聴いてほしいアルバム(時代が近いこともあり Bill Evans と Paul Chambers は両方のアルバムに参加)。

 

サンプリングはましても登場の O.C. 『Word...Life』(94年)のリミックス『Word...Life (Remix ないしは DJ Celory Remix)』です。Nancy Wilson & Cannonball Adderley の『Never Will I Marry』をサンプリングしたオリジナル・ミックスは勿論大好きですが、こちらのリミックスもイイですね。

 

ラストの『Wave』は何とブラジルのミュージシャン Antonio Carlos Jobim のカバー。原曲は聴いたことがありませんでしたが、今は Youtube があるから便利ですね。単にボッサを焼き直すのでなく、 Jamal が料理するとこうなるということですね。ベース・リフが執拗なまでに繰り返されるので一度聴いただけで覚えてしまいます。

 

有名なサンプリング・チューンは判りませんが、意外なところで DJ KRUSH の3rdアルバム『Meiso』(95年)収録の『Only The Strong Survive』のリミックス『Only The Strong Survive (The 7th Samurai Mix !!)』で使われてました。聴けば一発で判りますな。リリック&フロウは C.L.Smooth です。

 

てな訳でジャズ・アルバム評なのか Hip-Hop アルバム・レビューなのかよく判りませんが、Hip-Hop から入って来た人に是非聴いて欲しいです。そこんとこヨロシク。


Reigning Champ : Full Zip Hoodie (Black | Lightweight Terry)

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珍しいモノではないですが、以前より欲しかった Reigning Champ のスウェット・パーカー『Full Zip Hoodie (Black | Lightweight Terry)』を購入したので紹介します。

パーカーは何枚持っていてもヤメられません。。。病気ですね、コレは。

 

奇をてらったところのない、シンプルかつベーシックなアイテム。2007年カナダ創業とのことで、今でもデザイン/素材/縫製に至るまで全て made in Canada に徹しており、ミニマルなデザインだけれども素材や作りに拘っているのがとても素敵。ゆえに当然のことながら着心地が大変良いです。

 

元来、肉厚/ヘヴィーウェイト・フェチの私としては Polartec フリース版 を買おうと思っていたのですが、先に購入した Rogue Territory の Supply Jacket の中に着たいと思い、敢えてのライトウェイトを選択。というのも彼の写真のせいです。そう、あの Supply Jacket を最高にカッコよく着こなしている Long Yau さんの別のショットを見て真似してみたかったから。でも絶対に同じにはなりません(笑)。

 

生地はもちろんコットン100%のフレンチテリー、カラーはブラック。この柔らかい肌触りはたまりませんよね。USブランドTシャツやジーンズに代表されるような洗いざらしのアメリカン・コットンのゴワッとした感じも大好きですが、このテリーの滑らかな質感はホント気持ち良いです。

ReigningChamp_overview

 

ドロー・コードもジッパーも黒でオールブラックなのが気に入ってます(他のカラーは全てジッパーはシルバーですが、何故かブラックだけが黒)。ジッパーはYKKのダブル・ジップ。

ReigningChamp_front

 

有名なのがこの縫い目の4本針フラットロック・シームなんだそうな。頑丈だというのは判りますが、縫い合わせ部分の裏側が膨らまずにフラットな状態に仕上がるのだそうで、着ていて縫い目部分のゴロツキ感がなくストレスが無い。のだそうです。残念ながらガザツな私には実感ありませぬ。

ReigningChamp_seem

 

も一つ有名なのが袖の付け方で、前から見ると(前身ごろ)普通のセットイン・スリーブですが後ろ(後ろ身ごろ)はラグラン・スリープになっていて、フロントのルックスと腕の可動性を両立させています。手の込んだコートなどでも見られる手法ですね。

ReigningChamp_frontsleeve ReigningChamp_backsleeve

 

あえてお見せするまでもないですが、生地も生産もカナダ、です。 

ReigningChamp_tag

 

間もなく5月になろうというのに肌寒い日が多いので、このライトウェイトが結構重宝してます。では、さいなら。


Peaky Blinders : Newsboy Cap (100% Wool Black Herringbone)

peakyblinders_newsboycap_blackherringbone

続いて &SONS と同じくイギリスのキャップ・メーカー Peaky Blinders より『Newsboy Cap (100% Black Herringbone)』を紹介。

 

と言うか、元々は &SONS のサイトにある Baker Boy Hat が欲しかったのですが、75ポンドもしくは85ポンドと結構高いのと、その &SONS からこの Peaky Blinders のサイトにリンクが飛んでいて、20ポンドと廉かったのでモノは試しにと購入してみたもの。

 

ちなみに Peaky Blinders と言えばイギリス BBC のTVドラマのタイトルであり、ドラマに登場する実際に実在したギャング団の名称ですが、このキャップ・メーカーはTVドラマとは関係無いようです。古くからこのブランド名だったのか、TVドラマに先駆けて商標登録を取得したのか定かではありません。。

 

この Newsboy cap は、素材違い(Melton Wool, Tweed Wool, Cotton, Linen)、色違いで全34種類(2019年3月30時点)あり、迷いますね。しかも全て一律 20ポンド という判りやすい価格設定が素敵。webページの商品説明を信じればハンドメイドとのこと。イギリス国内であれば送料タダ、日本へは 8ポンド 掛かります。

 

手元に届いたのがコレ。8パネル + 天ボタンのスタンダードな作り。色は最もオーソドックスなブラック・ヘリンボーンをチョイス。生地(ウール100%)の厚みはシッカリとしていて程よい重量感があり、縫製も悪くないと思います。

peakyblinders_cap_overview

 

ブリム(ツバ)とクラウン本体はスナップボタンでオープン/クローズできる仕様。でもオープンにしてかぶらないでしょ。

peakyblinders_cap_front

 

内側はキルティング・ライナーでかぶりやすい。ウール 100% と言ってますが、このライナーはウールではないよね。

peakyblinders_cap_inside

 

サイズはS(55cm)から2cm刻みで S/M/L/XL/XXL とあるので自分のサイズにフィットしたものを選ぶことができます。ちなみに私の頭周りは56.5cm、サイズMがジャスト。

peakyblinders_cap_tag

 

made in China でした。。。やはり廉いモノには理由がありますね。

peakyblinders_cap_madeinchina

 

これといって凝った作りではありませんが、総じてコスト・パフォーマンスは良いと思います。

送料 8ポンド は廉くはありませんが、家族・友人・知人としめしあわせてまとめ買いすればそれ程でもないでしょう。


&SONS : Painter Chambray Shirt, Lincoln Waistcoat / Vest (Grey)

&sons_painter_shirt &sons_waistcoat_gery

 

最近、物欲が止まりません。。。 とは言えそうそうお金も無いので、小物購入ブツの紹介となります。

&SONS の『Painter Chambray Shirt』と『Lincoln Waistcoat / Vest (Grey)』です。

 

最近 "発見" して気になっているのがこの &SONS と言うイギリスのアパレル・ブランド。

調べてみたら2016年7月26日にアメリカのクラウドファンディング・サイト kickstarter でプロジェクトをローンチしたばかりの新進ブランド。同年9月5日にはプロジェクト終了とあり、わずか45日でおそらく当初目標としていた資金を集めたものと思われます。

 

ブランド・コンセプトを一言で言えば、ワークウェアをベースとしたアパレル、でしょうか。

彼らの instagram を見ると、イギリス発との先入観があるせいか、大らかで賑やかなアメリカと比べどことなくくぐもった曇天の下の産業革命時代のワークウェアを想起させます。

ベイカーボーイ・ハット(もしくはニュースボーイ・キャップ)をかぶったショットが多いこともあり、イギリスBBCの人気シリーズ『peaky blinders (ピーキー・ブラインダーズ)』の時代背景に通じるところがあるように思います。

 

Painter Chambray Shirt はシャンブレーとありますがかなり青味が強くデニムに近い感じ。でもデニムほどゴワッとした肌触りでなく少しテロッとした柔らかい手触りで、ポリ混かと思うような光沢があります(もちろんコットン100%)。

&sons_painterchambrayshirt_overview

 

背中にはセンター・ボックスプリーツとロッカーループ(ハンガーループ)。

&sons_painterchambrayshirt_back

 

左胸のポケットにペン・ポケットあり、右胸は内ポケットとなっています。中でも一番目を惹くのが豪快に伸びたチンストラップでしょうか。まさにデカチン(笑)。

&sons_painterchambrayshirt_chinstrap

 

チンストラップを留めたところ。昔はこれで喉元から砂や埃が入ってくるのを防いでいたのだそうな。そう言えば一番上の第一ボタンと最後の第六ボタンの付け糸が赤くなっているのは何かの意味があるのでしょうか。

&sons_painterchambrayshirt_chistrap_close

 

サイドシームは立体的な裁断で動き易く、ダブル・カフ・ボタンで袖口も絞ることができ、とにかくワークウェアのディティールがテンコ盛り。

&sons_painterchambrayshirt_side

 

裾と前立ての布端パイピングに衿と前立ての裏には別布と、これでもかと補強。

&sons_painterchambrayshirt_piping

 

ワークウェアらしくラグラン・スリープかつ若干大きめのルーズなフィット感で躰の稼働領域を広く取れますが、ガタイのよい人でないとダラシ無い感じになりかねないので着こなしがちょっと難しいかも。で何故最初にこれを選んだのかと言えば、定価120ポンドが60ポンドになっていかたら!!

 

 

もう一つは Lincoln Waistcoat / Vest (Grey) 。下の写真だとチャコールグレーのような濃いグレーのように見えますが、実際はもう少し明るめのいわゆる普通のグレーです。

&sons_lincolnwaistcoat_overview

 

ジャージのような生地だけどストレッチ性はないコットン100%ツイル生地の4つボタン・ジレ。 色味や生地感はこの写真が一番実物に近いです。

&sons_lincolnwaistcoat_closeup

 

95ボンドとそれほど高額でないこともあって高級感はありませんが、ドレッシーなアイテムと言うよりはカジュアルなヴェストで、コットンなのでシワや汚れを気にする必要はないし汚れたら洗っちゃえばよいし、気軽に使えます。なお、背中には尾錠が付いているけどあんまり絞らない方が良さそうです。

&sons_lincolnwaistcoat_back

 

これからの季節、白シャツの上に着て Yarmo Drivers Jacket を羽織ってもいいし、もう少し暖かくなれば白Tシャツにあわせてもいいし、使い勝手は色々あるよね。

&sons_lincolnwaistcoat_withwhiteshirt


Rogue Territory : Supply Jacket (15oz Indigo)

rogueterritory_supplyjacket

 

2018年購入ブツ紹介が終わったところで既に2019年購入が一つあり、早速紹介いたします。

Rogue Territory の『Supply Jacket (15oz Indigo)』です。

 

前々から「大人のGジャン」が欲しかったのですが、おそらく世の中で最も多いであろう LEVI'S の3rdモデル(Type III)のデザインが個人的に好きではないのですね。あのVシームがどうも好きになれないんですよ。かといって1stモデルと2ndモデルのボックス型シルエットは野暮ったい感じがするし、テーラード・ジャケット型は好きになれないし。なので最初はカバーオール/ワーク・ジャケット/チョアコートと呼ばれるものを中心に探してました。

 

その時点の候補は Tellason の『Coverall Jacket (Selvedge Denim - 16.5oz)』でした。Tellason のジーンズって一度は穿いてみたいですよね。このカバーオールは見るからにタフで無骨なジャケットで、アメリカン・ヘヴィー・リジッドをジックリ育てる楽しみが堪りませんが、冬に(アウターとしてでなく)インナーとして着るレイヤリングを楽しむことが出来ないため選外へ。もっとスリムフィットかつショート丈が欲しいのですね。

 

その他にカバーオール/チョアコートといえば POINTER (今は L.C. King とのブランドネームになっていました) や Carhartt のダックキャンバス生地も良かったのですが、今回はあくまでもデニムにこだわりたいので選択外。それから Railcar Fine Goods というちょっと妙な名前のブランドも結構イイ感じのジャケットを作ってます。

 

次に気になったのは Freenote Cloth というブランド。クラシックなアメリカン・ヴィンテージ・クローズを製作する新興ブランドのようで、モノすごく素敵。残念ながらGジャンは全て3rdタイプですが、『Riders Jacket Waxed Canvas (tobacco)』というのがめちゃめちゃカッコ良いのよ。でも値段が $400 と決して廉くないこともあり勢いでポチるには至りませんでした(しかも今回のコンセプトとは若干違うし)。いつかは欲しいなぁ。。。

 

また、岡山デニム・ブランド(桃太郎ジーンズ, TCB jeans, Japan Blue Jeans, etc)も素敵なのですが、良くも悪くもデザインがフツーで、個人的にはどうしても個性的な made in USA に惹かれちゃうのですよね。

また、一時は F.O.B Factory の『PIQUE 2nd JK』や『CORDUROY 2nd JK』、もしくは WORKERS の『1st Type Jacket』にしようかとも悩んだのですが、初心忘るべからずデニムで押し通すことにしました。

 

で色々と探して最後まで残っていたのが、この Rogue Territory と 3sixteen の『Ranch Jacket (Shadow Selvedge)』。3sixteen も Freenote Cloth 同様にクラフトマンシップ溢れるアメリカン・ヴィンテージ・ブランド。値段はほぼ同じくらいだし(2019年1月時点で Rogue Territory $275、3sixteen $265)、どちらもスリムフィットでエイジングを楽しめそうなのも同じ。

 

選んだ理由は Rogue Territory にはXSサイズがあり超タイト・シルエットに着れることですが、決め手は以下の記事を目にしてそのカッコ良さに痺れたこと(この記事の主眼はジャケットではなくてジーンズのようですが)。

Fade Friday – Rogue Territory Dark Stanton (9 months, 0 washes)

 

記事がなくなっちゃうと惜しいので画像だけ以下に貼っときますね。
rogueterritory_style0


rogueterritory_style1


rogueterritory_style3


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はい、私の手元に届いた実物がコレです。パッと見はギミックの無いミニマルなデザインでシンプルそのもの。この匿名性の高い感じは、ある種 A.P.C. のジーンズに通じるところがあると思う。ツマラナイと思う人はとことんツマラナイでしょうね。腹部の両サイド・ポケットはマチがなく「物入れ」というよりはハンド・ウォーマー用のパッチ・ポケットという感じ。左胸のウェルト・ポケットも同様でスマホが入るくらい。

rogueterritory_spjacket_overview

 

勿論バックも何も無し。ヨークは軽〜くラウンドしています。よく見るとダブル・チェーン・ステッチでしっかりと縫製されていて、イイ仕事してます。ウェスト・バンド部分にアジャスタブル・タブあり。
rogueterritory_spjacket_back

 

ネームタグがイカしてます(死語)。おそらくジーンズのスレーキだと思うけど、それをそのまま使ってタグにしてるんだろうね。ブラック・ホークがトレードマークらしい。made in USA 表記でなく、made in Los Angeles ってのもイカしてます。
rogueterritory_spjacket_sleek

 

ボタンのクローズアップ。プレーンなニッケル素材に、ブランド名でなくブラックホークの羽が刻印されてるのがカッコ良い。15.25oz デニムの生地感判りますでしょうか。初めて袖を通す時は硬くてゴアゴア・パキパキ、鎧を身に纏うかのようです(大袈裟すぎか)。馴染むまでボタンの開け閉めが大変!!
rogueterritory_spjacket_button

 

日本製デニムであることを強烈にアピール。嬉しいね。生地メーカー名の記載はありませんが、Rogue Territory の別の商品説明を見ると Nihon Menpu (日本綿布) との記述があるものがありますね。これもそうなのかな? 商品の注意書きにもあるけど初着用時のインディゴの色落ちが激しい。気が付いたら手が真っ蒼。
rogueterritory_spjacket_fabric

 

自分で意図的にXSサイズを選択したとはいえ、私の想像以上にタイト。リジッドなので着るのに一苦労。これを着用できるアメリカ人ているのでしょうか? ジーンズ同様に着用すれば伸びてくるものと思いますが、少しでも太ったらボタンが締められなくなりそうなので体型維持管理に務めつつ、着倒してイイ味出します。押忍!! オス!!


buddy : Bull Terrier Hi Heel Zip (white)

buddy_bullterrier_hiheelzip1 buddy_bullterrier_hiheelzip2

 

最後の2018年購入アイテム紹介は、日本発のスニーカー buddy の『Bull Terrier Hi Heel Zip (white)』。

 

比較的新しいブランドとの認識はあったのですが、調べてみたら2011年に大阪でスタートしたとのこと。スニーカーのモデル名は犬の種類なのだそうで、コレはブルテリアですが、その他にコーギー、ジャーマン・シェパード、ダックスフントなどがあります。

 

前々から白いスニーカーが欲しかったのです。ただ、Nike のようなハイテク系ではなく、シンプルでオーセンティックなヤツが。となると adidas の『Stan Smith』や LACOSTE の『L12.L12』が思い浮かびますが、ローカットでなくハイカットが希望なんですね。じゃあ CONVERSE の『ALL STAR』? となりそうですが、キャンバス地でなくレザーが欲しいのです。と思うと意外に気に入るものが見つかりません。。。

 

これは偶々通りがかった buddy 直営店で見てピンと来たもの。今どきネットで何でも探せるはずだけど、やはり街を歩いて物色するという行為は必要だなと思った次第。がしかし、25,000円 と結構いい値段だったのでその時は買いませんでした。で、年末のバーゲン・シーズンまで待ったところ幸いにも在庫が残っていて、しかも 50% Off だったのでついにゲット!!です。

 

でも何でそんなに高いの? と思って調べてみたら、ベジタブル・タンニンなめしとクロムなめしの2工程から製造されているとのこと。なるほど。なのでレザー製品らしい質感なんだけど綺麗なホワイトで丈夫かつ雨にも強いスニーカーに仕上がっているというわけですね。

その他、ソールは天然ゴムの混合率が高く足に馴染み易いけれど削れにくいとか、靴本体とソールをマッケイ製法で縫い合わせているためソールが剥がれにくくかつツルリとした表情に仕上がっている、などなど作り手の思いが伝わってきますね(でもバーゲン価格でないとおいそれとは買えません)。

 

少し前に買ったので既に何度か履いていて、真っ白ではありません。。。

レザーはシボのあるものとスムースレザーの2タイプありますが、私が購入したのはスムースの方。

buddy_btheelzip_overview

 

Hi Heel Zip の由縁ともなっているのがこの踵のジッパー。

ハイカットモデルなんだけど着脱が簡単。見た目にもアクセントになってます。
buddy_btheelzip_back

 

これがマッケイ製法部分。縫い目が綺麗で仕事が丁寧なのが判ります。
buddy_btheelzip_side

 

という訳でスニーカーなんだけど品があって、デザインにクセが無いので飽きずに履けそう。

いつも Redwing のアイリッシュ・セッター (オロラセットもしくはブラック) ばかり履いてますが、「濃紺デニムにホワイトレザー・スニーカー」ってのに憧れてまして、ようやく叶いました。

そう、A.P.C.『Petit New Standard (Indigo/rigid)』 に buddy 『Bull Terrier Hi Heel Zip (White)』 なのだ。


Bolzonella : Denim Shirt

bolzonella_denim_shirt

 

続く2018年購入アイテムは、イタリア北部の街パドヴァのカミチェリア BOLZONELLA の『Denim Shirt』。

 

私、イタリアのシャツは生まれて初めてであります!! イエッサァー!!

Luigi Borrelli, Barba, Fray, Finamore などなどブランド名だけは知っていましたが、買ったこともなければ勿論着たこともありません。自分では買うことはないと思っていました。

 

前々からデニム・シャツが欲しいなぁとは思っていたのですが、私の中では優先順位が低く、真剣にアイテム選定していませんでした。で、ある日偶々立ち寄ったセレクトショップで店員さんがセール対象となっていたコレを持ってきたのですね。私の好みを知っていたわけではなく小柄な私でも着ることのできるサイズということで。

 

いわゆるイタリア・シャツの王道ではなくて、アメリカン・カジュアルとイタリアの上品なシルエットが巧みに融合した感じで、こういうパターンもあるんだ!? という発見でした。気取り過ぎず絶妙な抜け感があって、でもどことなくエレガントでこなれた柔らかな生地感が素敵。

ヘヴィー・オンス/肉厚フェチの私としては、10oz以上のごっついデニム・ワークシャツを買うイメージしかなかったのですが、コレは非常に手触りの良い生地で、おそらくこれがコーマデニムなんだろうなと思います。

 

はい、こんな感じです。ハンガー吊るしでは判りませんが、イタリアらしくスリム・フィットで、着用すると肩のラインが非常に綺麗なんすよ。

bolzonella_denim_shirt_overview

 

バックがこちら。意外にもヨーク部分がウェスタン風。トルソーに着せるとウェストがシェイプしているのが判るのですが、さすがに自宅にトルソーはありません(笑)。
bolzonella_denim_shirt_back

 

襟はイタリアらしくカッタウェイ・デザイン。でも前立てはシッカリとあって完全にカジュアル寄り。これがプラケットなし(フレンチ・プラケット)だとドレッシーになるのでしょうけど、そうだったら私は買っていなかったですね。釦はホーンボタンっぽい。
bolzonella_denim_shirt_neckline

 

このシャツの一番の特徴が左カフの花刺繍。人によってはイキッた感じがイヤラしいと思うかもしれませんが、やり過ぎるちょっと手前でこれはこれでアリかと。剣ボロも綺麗だしサイド・ガゼットもあってそこは流石イタリアという感じ。
bolzonella_denim_shirt_cuff

 

今は寒いので着る機会がないですが、春先にサッと気軽に羽織りたいっすね。


J.Crew (Wallace & Barnes) : Canoeist smock jacket in ripstop cotton (olive)

yarmo_drivers_jacket

 

2018年末バーゲン購入した J.Crew のサブ・ブランド Wallace & Barnes の『Canoeist smock jacket in ripstop cotton (olive)』を紹介。

 

Wallace & Barnes は2011年にスタートしたラインでヴィンテージをベースに素材と作り込みにこだわったハイエンド・ラインとのこと。Ralph Lauren の RRL みたいなもんでしょうか(格というかグレード感が違いますが)。

400ドルくらいのモノが140ドル以下だったので勢いでポチりました。数分後に再度見てみたら売り切れていたのでタッチの差だったみたい。

 

一見してミリタリー色の強いヴィンテージ・スモック・デザインにオリーブカラーが男心を擽ります。J.Crew サイト商品説明文に、第二次世界大戦中(WWII)のイギリスの特殊舟艇部隊(SBS : Special Boat Service)が着用していたジャケットからインスピレーションを得たと書かれています。ふぅ〜ん。

 

で、ちょっと気になったので canoeist smock でググッてみたところ、何とこのジャケットに瓜二つのイラストやジャケットがあるではありませんか!! これは似ているというレベルではなく、見た目は同一物と言ってよいと思います。

canoeist_smock_design hawkwood_mercantile_canoeist_orange hawkwood_mercantile_canoeist_navy

 

ブランド名を見てみると Hawkwood Mercantile とあります。勿論知りません。調べてみると、

 

デザイナーの Richard Illingworth は大学でテキスタイルデザインを学んだ後、フリーランスとしてラルフローレンをはじめ様々なブランドのテキスタイルデザインを手掛け、2016年に自身のブランド『Hawkwood Mercantile』をスタートしました。デザイナー自身がヴィンテージウェアのコレクターでもあり古き良きミリタリーやアウトドアを根底としそれらからインスパイアされたコレクションを展開しています。イギリス国内では高品質な製品を小ロットでつくることが難しいため、インドに自社工場を設け、熟練したテーラーを招き、イギリスの生地と付属品(ボタンやドローコードなどのパーツ)を持ち込んで全て手作業でつくられています。

 

とのこと。どうやらこれはヘンタイのシワザ(情熱を持ったデザイナーによる渾身の作品)のようですな。

 

Hawkwood Mercantile の instagram を見てみると、この『Canoiest smock』以外にも、『Tryfan anorack』, 『Carrier jacket』, 『Kayak jacket』, 『Section jacket』などなど、アナログでレトロなんだけど機能美に優れ、ファッショナブルではないのにカッコイイ・ジャケットを沢山リリースしています。カラーもアーシーなものばかりではないようです。また、日本のセレクトショップでも取り扱い始めているところがあるようですね。う〜ん、これは欲しいぞ。

 

となると気になるのは J.Crew と Hawkwood Mercantile の関係。ですが、これは判りませんでした。。。Hawkwood を取り扱っているコマース・サイトの説明文に「The Canoeist Smock is based on a vintage British SBS, "Special Boat Service" Canoeist Smock designed in the 50's. 」とあり、もはや偶然の一致とは思えません。もしや製造が同じか?と思いましたが、Hawkwood はインド生産に対し J.Crew はベトナム製でした。あまりにソックリなのでデザインをライセンスしているのかもしれません(まさかこの大手ブランドが丸パクリしているとは思い難いですし)。

 

私の手元に届いたのがコレ。リップストップ生地でゴワッとしているし、スモックなので脱ぎ着も面倒で、決してコンフォータブルなアウターではありませんが、でもやっぱカッコイイです。全部で6つのポケットが付いていて(2つの胸ポケットは単なるデザインでなく本当に袋状のポケットです)、左胸の傾斜ポケットは "storm construction" と呼ばれる、水が入らないように開口部が折り畳まれた構造になっています。

jcrew_canoeist_smock_overview

 

何と言ってもサイコーにカッコイイのが背中のラージポケット。雑誌がそのまま入るくらいの大きさ。着たままだと使えません(笑)!! バックパックの代わりという説明がありましたが、SBS(特殊舟艇部隊)は二人1組でオペレーションを実施したという記述から思うに、相棒が荷物を出し入れしていたように思います。
jcrew_canoeist_smock_back

 

フードの台襟は結構高く、襟ぐり(喉元)の右側に大きな3つのボタンが付いていて、ドローコードで絞るとともに幅広チンストラップを上下二段でしっかりホールドします。写真は撮っていませんが、左側にはスモール・ポケットが付いていて、ヘッドフォンのような小アイテムを入れるのに適していますが、WWIIないしは50年代という時代にはヘッドフォンなどあるはずもなく、「ミステリー」だといってます。
jcrew_canoeist_smock_neckline

 

フードは作り付けで取り外しできません。フードトップにはサイズ調整用のスナップボタンとベルト・アジャスターが付いていて、ミリタリー・ディテールを再現しているのが実に素敵です。
jcrew_canoeist_smock_hood

 

という訳で、廉くてお買い得だったのかそれともモドキを掴んでしまったのか少々複雑な気持ちですが、少なくともリップストップの生地感はしっかりしていて悪いモノではないので良しとしましょう(と自分を慰めてみる)。


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