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  • 2023.12.31 Sunday
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Karrimor SF : Delta 25 / Gregory : Quick Pocket S

karrimor sf delta 25 gregory quick pocket s

欲しくて買ってしまいました。。。

ただでさえそんなに使用頻度の高くない MYSTERY RANCH のバックパック SWEET PEA を有しているのに、少し前に FREDRIK PACKERS のミドルサイズのメッセンジャー・バッグ BIKE PACK を購入しているのに、用途不明瞭のまま Karrimor SF のバックパック Delta 25 を買ってしまいました。しかも Gregory のミニポーチ Quick Pocket S も一緒に。。。

一応、言い訳はあるのですよ。SWEET PEA は街中で使うには大き過ぎる・荷物が少ないとクシャッとシルエットが崩れてしまう、BIKE PACK はどうしてもフィット感がバックパックに劣る・体への荷重が均等でない、エトセトラ etc。

でも、只単に欲しいだけだったりするのだぁっ!! 人はそれを物欲と呼ぶのだぁ〜!!

バックパックの弱点は、背中に背負っているので荷物をクイックに取り出せないこと(当たり前ですが)。リッドに入れたスマホとか小銭&交通系カードなど小物を頻繁に取り出すにはチョッち面倒。その点メッセンジャー・バッグはクルッと手前に回せるので便利。とはいえ、荷重がソコソコになってくると身体に対する負担が大きくなるし「荷物の据わり」が弱点。
そこで今回の解決策としては、『重い荷物は背中に背負いつつ、頻繁に使う小物は手元(手前)にしまう』という要件を定義し、これを実現するための『Karrimor SF Delta 25 と、そのショルダー・ハーネスに Gregory Quick Pocket S を取り付ける』という実装方法を導入することに決定しました。と言って結論ありきなのですがね。

Delta 25 は前々から欲しいと思っていて早い段階でコレと決めていたのですが、悩んでいたのがカラー選定。本当は multicam が欲しいのだけれど、自己主張が強すぎるのでやめました。で、olive も非常に魅力的なのですが、誰にでもどんな服装にでも使い廻しのできる black にすることにしました。multicam はまた別の機会にとっておこう(実は既に狙っているものはあるのだ。ぐふふッ)。

で、さらに困ったのは、ミニポーチが中々良いものが見当たらないこと。最初は MYSTERY RANCH の Sling Pocket を狙っていたのですが、iPhone 6 がギリギリ入るくらいのようだったので私の狙いからちょっとズレてしまう。また、ミリタリー系の MOLLE タイプのポーチも調べてみたのですが、どうしてもプラットフォームの「横のウェビング・テープ」に対して、MOLLE ポーチは「縦に取り付けるストラップ」となってしまい、縦長のショルダー・ハーネスには取り付けられないのですよ。さすがに90度横倒し装着というのもなんだし。

とかねてより色々物色していたところ偶々 A&F で目に入ったのが Gregory の Quick Pocket S と M。おぉ〜 最初からショルーダー・ハーネスに取り付けられるよう設計されているじゃないですか!! 試しに Sサイズ をお店の Day and a Half Pack (33L) に取り付けてみたところ、ちょっと大きく、見た目のバランスがよろしくないではないか。。。だが私が所望する荷物を入れるにはこの大きさでないと使い勝手が悪いしなぁ。

で、しばし悩んだ末、やはり Quick Pocket S の購入を決断。しかし、カラー black がない。black もしくは coyote のバックパックに装着することを考えるとやはり black が良い。という訳でお店の人に取り寄せをお願いしました。
その使用感ですが、大き過ぎて胸のあたりで邪魔になることを心配しましたが、いざ使ってみればそう気にするほどでもない。つまるところ、あまり見た目はよろしくないが、私の狙い通り。ってことで。
(後々調べてみると Padded Case S,M というのもあることが判明しましたが、やはり容量的にはちょっと足りない)

以下、webページより転載。

Karrimor SF : Delta 25

市街地パトロール等、ショートオペレーションに最適な小容量バックパック

・風洞バックシステム
・ウエストベルト
・胸部ストラップ
・メッシュサイドポケット
・コンプレッションストラップ
・ショックコード
・ハイドレーションシステム用内部ポケット
・ピッケルホルダー
・マップポケット
・バータック補強
・止水ジッパー

カラー: olive black coyote multicam
寸法:縦50×横30×マチ15cm
容量:25L
素材:KS100e (マルチカムのみ500D IRRナイロン)
重量:1.2kg

Gregory : Quick Pocket S

クイックポケットS(QUICK POCKET S)は様々な携帯の仕方が出来るコンパクトなポーチです。手元に置いておきたい携帯電話やカメラを収納するのに最適です。

FEATURES 製品特徴
・マチ付フロントジッパーポケット
・複数の取り付け方法を持つ背面ループ
・取り外しと長さ調節可能なショルダーストラップ

SPECS 製品仕様
容量 : 1.5L
重量 : 145g
サイズ : 12W×16.5H×5.5Dcm


(左) Karrimor SF Delta 25 と (右) MYSTERY RANCH SWEET PEA
25L と 33L なので、Delta 25 の方が一回り小さいですね。
karrimorsf delta 25 #1

横から見ても Delta25 の方が奥行き(マチ)が少し浅いのです。
でも一番の違いはヨークとショルダー・ハーネス。まぁそこが SWEET PEA のウリですから。
karrimorsf delta 25 #2

奥行き(マチ)の違いはこちらの方が分かりやすいかな。
karrimorsf delta 25 #2

ショルダー・ハーネス、パック背面、ウエスト・ベルト。
Delta 25のウエスト・ベルトは SWEET PEA ほどしっかりしていませんし、両サイドに仕舞い込むこともできません。
写真では分かりませんが Delta 25 の背面パッドは中央が抜いてあり通気性を確保。
karrimorsf delta 25 #3

Delta 25 に Quick Pocket S を取り付けたところ。
karrimorsf delta 25 #3

New Order : Thieves Like Us

thieves like us murder

時系列がメチャメチャだけどもジャケットのアートワークが気になってしまったので New Order の 7th シングル『Thieves Like Us』(84年)を久し振りに聴いてみた。

『Blue Monday』はイギリス音楽史上 空前の記録を作った(はずだ)が、Factory Records がイギリスのレコード会社による業界団体である British Phonographic Industry (英国レコード産業協会、略称 BPI) に加盟していないこともあり、ゴールドディスクの認定を受けていない。(BPI の規定では、シングルは、シルバー20万枚/ゴールド40万枚/プラチナ60万枚)
しかしながらイギリス音楽産業における各種販売実績を集計している Official Charts Company (略称 OCC) によればイギリス国内だけで116万枚を記録しているという。

彼らは同じような音楽を再生産することを良しとせず、Paradise Garage , The Saint , Flamingo などNYの最先端のクラブのエナジーを取り込むべく、Afrika Bambaataa のプロデュースで一躍名を挙げた Arthur Baker と共同製作し新たな道を切り拓こうとする。その第一弾が彼らの 6th シングル『Confusion』(83年)である。
正直なところ、Hip-Hop に取り組んだものの充分に消化し切れずトラックに踊らされている感が強いが(『Substance 1987』で再レコーディングした際には格段にソリッドになっていてコレはコレで素晴らしい)、Baker とのコラボレーション第二弾となるこの『Thieves Like Us』では New Order の感性とエレクトロニクスが見事に昇華され独自の美学・音像を形成している。

Stephen Morris のミドルテンポのドラムで始まる。これがシンプルだけど超絶カッコ良いのよ。流麗で光るようなキーボードに包まれ、 Peter Hook のベースが艶やかにうなる。このベース・スレーズは彼のプレイの中でも記憶に残る素晴らしいものだと思う(ヴァースに入ると普通のシンセ・ベースで進行するのが残念だけど)。ストリングス系キーボードとオルガンのような音で幾重にも折り重なった旋律の中、Hooky のベースが語り Bernard Sumner が愛を謳う。この歌詞、どこまで本気なのでしょうか。

I've lived my life in the valleys
I've lived my life on the hills
I've lived my life on alcohol
I've lived my life on pills

But it's called love
And it belongs to us
It's called love
And it's the only thing that's worth living for

僕は谷の底で過ごしてきた
僕は丘の上で過ごしてきた
僕は酒に頼って生きてきた
僕は薬に頼って生きてきた

でもそれを愛と呼ぶのさ
そしてそれは僕たちのもの
それが愛
それは生きてゆく価値のあるたった一つのもの

それにしても歌詞とタイトルが全くつながりませんな。Wiki によれば74年のアメリカ映画『Thieves Like Us (邦題が何故か『ボウイ&キーチ』)』から拝借しているようなのだが、映画の内容とリンクしているのだろうか(映画は見てません)。

いよいよ今回の本題。
この『Thieves Like Us』の12インチ・アナログEPのジャケット(上記左)は、数あるレコード・ジャケットの中でも5本指に入るマイ・フェイバリット。ジャケ買いしました。Peter Saville によるアートワークで、中央にあるのはイタリアの画家・彫刻家で後のシュールレアリズムに多大な影響を与えた Giorgio de Chirico の『The Evil Genius of a King (日本では『王の凶悪な天才』)』(製作 1914-1915年)がベースになっており、周囲の数字はルールが失われてしまった18世紀のボードゲームを参考にしているとのこと。あまりに美しい。

で、B面に収録されている『Lonesome Tonight』が隠れた名曲。 A面より良い曲だと思う。Hooky のベースに導かれスタート。ミドルテンポのユッタリうねるビートにシャープになり過ぎない Barney のカッティング・ギターが気持ちよい。4分過ぎのディスガスティングな Barney のボイシングは何の意図ですかね。全体的に音圧が足りなくて薄い感じなのが少し残念。

ジャケット(上記右)は、1か月後に Factory Benelux よりリリースされた『Murder』。見れば一目瞭然、『Thieves Like Us』と同じフォームでそのナイト・バージョンといったところか。当時この2枚をまとめて買った時の高揚感はハンパなかったなぁ。
ちなみに楽曲的には『Thieves Like Us』とは全くつながっていなくて、PiL (Public Image Ltd) のようなダーク・インスト・ナンバー。トライバルで凶悪なドラミングに不安を煽るような不穏なギター、ベースが珍しく低い音で(普通のバンドはこうなんだけどね)地を這いスラップされ、絶叫ボイスがサンプリングされている。New Order ではかなり異色の作品。
B面は『Thieves Like Us Instrumental』。今聴くとバレアリックなサウンドですね。

Giorgio de Chirico 『The Evil Genius of a King』
MoMA The Collection より転載
Evil Genius of a King

The New and Fashionable Game of the Jew より転載
jews game

 

New Order : Blue Monday 1988

blue monday 1988 blue monday

ついでにもう少し遡って New Order 『Blue Monday 1988』(88年) を聴く。

私は83年のオリジナル・リリースをリアルタイムでは聴いていないのですね。後追いで聴いたので。不幸なことに 『Blue Monday』 以降のフェイクを耳にしてしまった後に初めて聴いたので、正直なところこの曲の持つインパクトをよく理解できていなかったのです。

高校時代に Joy Division 『Closer』の輸入盤アナログLPを買ったくらいだから Joy Division 〜 New Order のことは情報としては知っていたし、『Blue Monday』についても「ロック、ダンス、ポップの融合」だとか「前身バンドのボーカリストの自殺を曲にしている」だのといったことは知っていましたが、いざ聴いてみるとダンスビートのくせになんか暗いしボーカルはあんまり巧くないしそれにしても7分半と長いし、と退屈な曲だなぁというのがその印象でした。おそらく今の世代の人が初めて聴くと音がショボくて何じゃこりゃと思うでしょうね。

今になれば理解できる。ニューヨークのハイエナジー・スタイル、ドイツのミュンヘン・サウンドにイタロ・ディスコ、そしてテクノの源流クラフトワーク、などなど様々なデジタル・ダンスビートを併呑して自己流に解釈し、メロディとビートが同期しないというアクシデントすらも呑み込んで従来のフォーマットからは逸脱したイビツに出来上がったダンスロック・ヘンタイ・ナンバーなのだ。

Wiki によれば、Bernard Sumner 曰く以下の4つの楽曲から影響を受けているそうな。
- Klein + M.B.O. : 『Dirty Talk』 / アレンジ
- Sylvester : 『You Make Me Feel (Mighty Real)』 / ベースライン
- Donna Summer : 『Our Love』 / ビート
- Kraftwerk : 『Uranium』 / イントロとアウトロのキーボード話声音

Kraftwerk のは正に『Blue Monday』のアレですね。そうか Kraftwerk からサンプリングしていたのか。とか、Donna Summer は『Blue Monday』というよりは『Temptation』だな。とか、Klein のアレンジって確かに『Blue Monday』と似ているな。とか、 Sylvester のプロモは今見るとかなりウケるな(関係ないかっ)、などなど色々と発見があります。

その『Blue Monday』をUSの音楽プロデューサー Quincy Jones (と John Potoker) がリミックスしたのがこの『Blue Monday 1988』。原曲を活かしたままハード&クリアにリミックスされていて、実に素晴らしい出来栄え(必聴は7分を超える12インチ・バージョン)。リミックスものって中々オリジナルを超えることが少ないけど、これは巧くいったケースでしょう。

さて、ようやく今回の本題。
上記のジャケット(左)が『Blue Monday 1988』、ジャケット(右)が83年のオリジナル『Blue Monday』の12インチ・アナログ盤ですが、Peter Saville によるこのオリジナル・ジャケットには様々な逸話があるのはご存知の方も多いと思う。

・5.25インチのフロッピーディスクを模したデザインで型抜き加工
・一面の黒も通常の黒インクでは深みが出ないため、複数のカラーインクを混合し生成したもの
・よって制作費が嵩み、売れば売るほど利益が減っていくという採算度外視のアートワーク
・アルバムにはアーティスト名も楽曲名も記載がない
・ジャケット右端に謎のカラーコード

音楽媒体がアナログ・レコードとカセット・テープしかなかった時代、ロックとデジタルが融合した新しいスタイルの楽曲を聴いた Saville は「こういう新しい音楽にはバンドが使用していたシーケンサーのフロッピーディスクのメタファーが必要だと思った」というのは今となっては微笑ましい。というか今の人にはピンと来ないでしょうね。

で、この右端のカラーコードが意味を持っており、「FAC 73 BLUE MONDAY AND」(表面) 「THE BEACH NEW ORDER」(裏面)ということを表す。ということがよく記述されているのですが、果たして本当なのか?とも思っていました。
という疑問を30年前に抱いていたことをつい最近思い出し、本当にそうなのか調べてみることにしました。早速ググッてみたら下記の color code を作成している人がいるじゃないですか。なるほど。ついでにその製作過程のデザインと思われるメモ書きもありました(Savilleのメモ書きかどうかは確認できていません)。
この color code による記述は 2nd アルバム『Power, Corruption and Lies』(83年)、次のシングル『Confusion』(83年)でも使用されています。

Peter Saville & New Order’s Colour より転載
saville's color code 1

COLOUR CODE より転載
saville's color code 2

New Order : Technique

technique

さらに少し遡って New Order の 5th アルバム『Technique』(89年)を聴く。

87年に過去の12インチ・シングルAB面をコンピレーションした『Substance 1987』をリリースし、今までの活動を総括した彼らはしばし沈黙する。その間に The Stone Roses , Happy Mondays といった後にマンチェスター・ムーヴメント(マッドチェスター)と呼ばれるダンサブルなロックビートとドラッグ文化を交配させることで新たなレイヴ・カルチャーを生んだアーティスト勢が席巻。
若手が台頭する状況下においてマンチェスターの雄 New Order がオリジナル・アルバムとしては3年振りに発表された本作は、New Order の美学・哲学が見事に昇華・結実し彼らの最高傑作と評される。

3rd 『Low-Life』(85年)には『The Perfect Kiss』が、4th 『Brotherhood』(86年)には『State of the Nation』というキラー・チューンがあるが、この『Technique』にはその一撃必殺ナンバーはない(強いて言えば『Round & Round』と思うがチョット弱いと思う)。
しかしながらアルバム全体を貫く「偉大なアマチュアリズム」はイビツにして凛とし美しくも奇妙な佇まいを見せ、享楽と孤愁が錯綜し解放と閉塞が同時に支配するメランコリックにしてアイロニックな音像は、彼らが一つの到達点に辿り着いたことを顕わしている。

カラフルな "小便小僧" のアートワークはいつもの如く Peter Saville。目立つのは事実だが、個人的にはちっとも素晴らしいとは思えないのだが。。。

『Fine Time』はアルバムに先駆けて88年にリリースされたシングル・ナンバー。半年くらい前に『Blue Monday 1988』をリリースしたばかり、いよいよ本格的な再始動の狼煙でもある。モロにアシッド・ハウス・ビートでアルバムの中では異色のチューン(ちなみに私はあまり好みでない)。
アシッドは87年 Phuture の12インチ『Acid Tracks』がその名前の由来と言われており、決して New Order が先駆的・革新的であるわけではないが、流行りモノに敏感な彼らが積極的に自己解釈し、アシッド・ビートに Bernard Sumner らしい唄メロとブリブリ鳴る Peter Hook のベースがやはり NO ならでは。このアプローチは83年の『Confusion』に通じるものと思う。

一転して『All the Way』ではイギリスのギター・バンドらしい軽快なビートが心地よいパワーポップ・ナンバー。大好き。実はコレ、The Cure の87年のヒット曲『Just Like Heaven』のベース・ラインそのまんま。つまりパクリ曲ってわけ。で New Order もそのことを公言している。
実はコレ、その伏線がある。曰く「奴ら(The Cure)がオレらの曲をパクるので、オレ達も同じことをしてやったのさ」というもので、ワザと狙ってやった確信犯なのだ。事実かどうかはともかく、似ていると言われればそうとも解釈できる曲があるのは確かで、しかし、同時代を生きるアーティストが影響を受けてしまうのは自然なことと思う。問題はそれをどのように表現し公開するかだ。

下記の左が JD / NO の原曲、右が The Cure の酷似している(もしくはインスパイアされた)と言われているもの
-『Warsaw (『An Ideal for Living』収録)』(78年6月) : 『Killing An Arab』(78年12月)
-『Atrocity Exhibition (『Closer』収録)』(80年) :  『Pornography』(82年)
-『Dreams Never End (『Movement』収録)』(81年) : 『In Between Days』(85年)
-『Blue Monday』(83年3月) : 『The Walk』(83年6月)

『Love Less』は3分に満たない小作品だが、メロディも歌詞もメランコリックな私の No.1 フェイバリット。Hooky の唄うようなベースライン、Barney の爽やかなアコースティック・テイスト全快のギターに声質とキーがマッチした歌声、Stephen Morris のシンプルで骨太なドラム、Gillian Gilbert お得意のフワッとしたキーボード、とギター・バンド New Order の黄金比がここにある。

『Round & Round』はアルバムからの 2nd シングル。アルバムは全曲 New Order プロデュースのクレジットとなっているが、シングル・リリース化にあたり Stephen Hague が共同プロデューサーとして招聘されていることから分かるように『True Faith / 1963』(87年)の再来を狙ったもので、ド派手なオーケストラ・ヒットのオープニングに転がるパーカッションが否が応にも盛り上がるエレクトロ・ポップ・チューン。アルバム・バージョンはエッジーな音作りだが、シングル 7インチ・バージョンは Hague の流麗なキーボードが目立つサウンド・プロダクションとなっている(と言っても大胆な変化ではないが)。
シングルのアートワークはアルバムと同じデザイン・ワークで、勿論 Peter Saville。ググッていたらジャケットに写っている塑像 "Little Lewie" のレプリカが Factory memorabilia shop で売られていたのを発見。今や Factory はこの世にないのでネットオークションで手に入れるしかないけど(今いま eBay で 2000 ドル!!)。重度のマニアは是非(笑)。

やたらと官能的なベースとキレッキレのカッティング・ギターにドカンと居座るドラムが気持ち良い『Guilty Partner』。とにかく Hooky のリード・ギターさながらの唄うベースと Stephen のシャキシャキ鳴るシンバル・ワークを聞くべし。Hooky のベースはいつもはエッジの効いたバキバキする音だが、ここでは太いが丸みのある音が印象的。ライブではヘタクソで定評のある Barney のギターだがそこはスタジオ録音、イビザ島レコーディングがそうさせたのかスパニッシュ風の哀愁のギターソロを聴かせてくれます(短いけど)。

続いてマーチング・バンドのように前へ前へと突き進むのは『Run』。『Brotherhood』(86年)のギター・ナンバーを彷彿とさせるような明るく力強いナンバー。Wiki によれば「シーケンサーとオレとの壮大な権力闘争なんだ。オレ達はまだロックバンドであることを望んでいたので、オレは果敢に闘いに挑んだのさ」と Hooky がジョークを飛ばしたそうな。
アルバムからの 3rd シングル化に際して R.E.M. や Nirvana の楽曲を手掛けたしたUSのプロデューサー Scott Litt にミックスを依頼し『Run 2』と題してリリースされたが、それほど際立った変化はないように思う。もっとガレージっぽくザラザラすることを期待したんだけどなぁ。Saville によるシングル・ジャケットは "小便小僧アートワーク" でなく、洗剤(!?)のパッケージにインスパイアされたそうでデカデカと Run 2 のロゴ。
ちなみにこの曲は John Denver の『Leaving on a Jet Plane』(69年)のギター・ブレイクに酷似していると訴えられ、和解により後に共同執筆者として Denver の名前がクレジットされた。

何故にこのヘンテコなタイトルなのか意味不明の『Mr. Disco』。ベース・ライン(シンセ)が自身の『State of the Nation』(86年)とソックリな自己再生産型のダンス・チューン。享楽的ではあるが New Order らしい唄メロであり、そこはかとなく虚ろな空気感が堪らない。イタロ・ディスコに通じるものがある。久し振りに聴くと後半の Hooky の唸りまくるベースが大変キモチヨイね。
(イタロ・ディスコと言えば、「ガゼボ / アイ・ライク・ショパン」を思い出しました。全然似ていないけど)

『Vanishing Point』は哀愁度Maxのエレ・ポップ・ダンス・ナンバー。人気が高いのもうなづける。楽曲は良いと思うんだけど、今聴くとあまりにデジタルなサウンド・プロダクションが私的にちょっとツライなぁ。『The Perfect Kiss』や『True Faith』なんかもバリバリにデジタルなんだけど色褪せないの対してコレは何故だかキビシイね。
Youtube でライブ映像を見てみると、Barney なんかギターを持たずに完全にカラオケ状態で唄っているその横で、Hooky が Joy Division 時代と変わらぬ侍のような出で立ちでベースを弾きまくってる絵があまりにシュール。

締めくくるのは『Dream Attack』。ナイロン・ガットのようなカッティングに Gillian と思しきイナタい(つたない)シングルトーンのギターがやるせない。ギターバンドとエレクトロニカが融合し泣きメロが響くという ザッツ New Order。しかし今一つ突き抜けられないのはどうしてなんだろう。まぁこのあたりが「偉大なアマチュア」たる所以なのですが。

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